(これから好きになるっていうだけで、まだ好きにはなってない……はず)
どう言葉にしていいか分からずに居ると、一つの気配が後ろからファウラを抱き寄せた。
「気になる話をしているな、ファウラ。俺にも聞かせてもらおうか」
「へっ、陛下!!」
突然のルイゼルトの登場に、ファウラも侍女達も困惑せざるを得ない。
一体いつから聞いていたのか分からない侍女達は、表情を硬くした。王族を、しかも仕えている主に対して無礼を働いたのだ。極刑を言い渡されてもおかしくはない。
緊張感が走る中、ルイゼルトは何食わぬ顔でファウラの肩を抱き寄せて、ドレスになる予定の生地を見つけて瞳を輝かせた。
「いい色を選んだな。仕立てにどれぐらいかかる」
「式典の三日前には完成させます」
「そうか」
何も言ってこないルイゼルトに若干震えた声で伝えた侍女に、早速取り掛かるように命じ、二人きりになった空間で彼はファウラから離れることなく顔を覗かせた。
「そう言えばファウラ、ドレスに合わせる装飾品はどうする」
「装飾品か……」
「荷物の中にはろくなもの入ってないだろ」
痛い所を突かれて顔を歪ませると、ルイゼルトは好都合だと嬉しそうに笑った。
「午後からは仕事がないんだ。買い物にでも行くか」
「いいの?」
「馬車の中で、さっき言いかけてた事教えろよ」
「……っ!」
腕を捕まれて部屋の外へと出ると、ユトが静かに待機していた。



