最初は慣れないことに戸惑っていたが、侍女達の楽しそうな顔にファウラまでも楽しくなりされるがままを貫き通した。

 皆の意見が一致したのは、淡いヴァイオレットカラーの生地と、花を象ったレースをの組み合わせだった。ようやくある程度の形が完成してきたようで、我に返った侍女達は申し訳なさそうに、ファウラの着替えを手伝った。




「これから急いで製作させてもらいますので、完成まで暫くお待ちくださいね」


「ええ。楽しみだわ」


「でも本当に良かった。ファウラ様が元気になられて」


「元気になるまで、式典を伸ばすなんて言いだした陛下には少し驚いたけど」


「ほんとよね。体調が悪いまま無理矢理参加させると思っていたわ」





 街の井戸端会議のように、またしてもファウラという存在がいながらも話し出す侍女達の声に耳を傾けた。




「長い戦いの勝利を掴み取った悪魔王だもの。そう思うのも無理はないわよ」


「そう言えば、ここ最近また影を見たって騎士が噂してたよ」


「……陛下が本当に悪魔を?」


「いいえ、違うわ」




 ファウラは侍女達の話を割って入ると、我に返った彼女達は一斉に口を閉ざした。