難しい顔で考えるファウラに、一人の侍女が丁寧に説明してくれた。



「正式な華燭の典までは三ヵ月程あります。我が国では、その前に婚約者様をお披露目する式典が用意されております。そこでファウラ様は婚約の儀を行って、正式に婚約が認められるのです」


「あ……そう言えば……」




 説明を聞いて、何となくユトも似たような説明をしていた記憶が薄っすら蘇った。

 ただ、その式と今のこれに何の関係があるのか上手く結びつかない。
 



「さて、一度御召し物をお脱ぎになってください」


「え!なんで?!」


「式典のためのドレス作りのためです」


「私達、一流のお針子さんと一緒に気合入れて頑張りますからっ!」




 まだ事態を把握しきる前に、あれよあれよと着ていたドレスを脱がされ採寸が始まった。

 最初は今の状態をようやく理解したファウラの意見も取り入れていたが、気が付けば侍女達は彼女を着せ替え人形のように遊び始めた。