王宮で生活している時に、バレないように図書館に忍び込み、その手のものを探ろうと書物を漁ったりもしたが、特に有益な情報は得られなかった。同じような力を持つ人も周りにはおらず、相談相手は誰もいない。
強いて言うならば、母親も特殊な力を持っていたが、未来を透視する力を持ってはいたが、その力のことすらも国王は隠蔽した。そして終いには、悪魔の力だと偽って、ファウラ達を避けた。
(私の力が本当に悪魔の力だから、穢れが悪魔に見えた……とか?)
人を助けてきた力が、穢れによって発動するものだとしたら……そう考えると少し恐ろしくなった。でも確かに人々の笑顔を作ってきた力だ。今更、力を嫌う理由はない。
ただ、今後悪しき穢れの力が見えた時、今までと同じように力が使えるかと言われれば、即座には決められない。
選択によって誰かを傷つけるようなことがあっては困るからだ。
(もう二度と力を使いませんように)
今はただそう願うしかない。
侍女と会話して気持ちがようやく落ち着き始めたころ、香り立つ茶葉の紅茶を入れたユトがサロンへと戻ってきた。何食わぬ顔でユトを迎え入れ、高級な紅茶を堪能すれば、気持ちはすぐに落ち着いた。
体調も良くなったことを伝えて、再び城内の案内が再開される。
侍女とも別れ、まずは彼女を助けられた自分を褒めることに気持ちを向けながら、随分と打ち解けてきたユトと共に城内を歩いた。
――その後ろを、怪しい影が蠢いていることにファウラはまだ知らない。



