穴があったら入りたい気持ちで、ルイゼルトから顔を逸らすように俯くと、立ち上がりこちらへ足を向ける彼に、思わず体がびくりと反応する。
(これ以上、醜態を晒したくないんだけどっ)
何をされるのか分からず身構えていると、ルイゼルトは踏み出そうとしていた足を止める。一瞬だけ寂しげな表情を浮かべたかと思えば、もう一つの扉の方へと向かって歩き出した。
こんな中途半端に弄ばれ、何がしたいのかとルイゼルトの背中を睨みつけ、油断するものかと身構えていると、彼は振り向かずに扉を開けた。
「ここはお前の部屋だ。部屋の中にあるものは全て好きに使っていい。ああ……それと」
先程浮かべた寂しげな表情は何処にもなく、小さく不敵に笑って鼻を鳴らす。
視線を送ったのは荷物の方向。
「お前の趣味には少々付き合いきれん」
「っ……!」
「まあ、せっかくだ。夜這いの時にでも着て、俺を喜ばせるんだな」
「はっ……はあっ?!」
裏返ったファウラの声にくつくつと喉を鳴らして笑いながら、軽やかに手を振って部屋から出ていくルイゼルトを、顔を赤くして睨みつけることしか出来ない。
静かになった部屋で一人、ふにゃふにゃと床にへたり混んだファウラは、怒りで震える身体をどうにか鎮めようと必死だ。一国の王女として、怒りで叫ぶわけにはいかないのだから。



