悪魔な国王陛下は、ワケあり姫をご所望です。





 伸ばしかけていたファウラの手を取り、ルイゼルトは嘲笑うように目を細めた。




「まだ婚約の儀も終わってないっていうのに、襲いにかかってくるとは……また随分と積極的な姫様だな?」



「なっ!!ちっ、ちがっ……!!」




 否定するよりも先に、ルイゼルトはファウラの手を引き寄せるように力を込めると、簡単に体勢は崩れて、横になっている彼の胸元に倒れ込む。起き上がろうと顔を上げれば、綺麗な瞳と目が合って心臓が跳ねた。

 伝わって聞こえてくる心音が重なり合い、益々ファウラの心臓は早くなる。感じる熱に、体温は勝手に上がっては、下がる気配もない。

 ファウラのそんな様子に、ルイゼルトの唇が弧を描く。

 ぞくりと背筋をなぞられるような感覚に身の危険を察知し、慌てて距離を取るように立ち上がって壁際へと逃げ込むと、ルイゼルトは髪をくしゃりとかき上げながら体を起こした。

 一つ小さく欠伸を零して、壁際に逃げたファウラを切れ長の目で捉える。



「その様子じゃ、回復し過ぎて元気が有り余っている……そんな所か」


「……い、一体いつから起きてたのよ」


「部屋の中を物色してゴソゴソしている時から」


「物色って……!そんなことしてないわよ!」



 色々と自分の行動を見られ、聞かれていたことに恥ずかしさのあまり耳が僅かに赤くなるファウラを、ルイゼルトはどこか楽しそうに笑う。