(すごく体が軽い……旅の疲れもちゃんと取れてる)


 寝台から起き上がり、自由に動く体を大きく伸ばした。昇り始めた太陽がキラキラと輝き始める時間は、今までのファウラにとっては畑仕事を手伝う時間だ。

 寝ている間の事がよく分からず、自分が今城の何処にいるのかも分からない。侍女達が起こしに来るまでの時間を、部屋の中で過ごすのも勿体ないと、活動したくてたまらない体がうずうずし始める。



(でも寝着のまま部屋の外を彷徨くのも、一国の王女となった今じゃ流石に出来ないし……)



 部屋の中を見渡し、見つけたお下がりのドレスが入った荷物が椅子の上に置かれていた。ふかふかな絨毯の上を歩いて、荷物の前で腰に手を当て仁王立ちのまま見つめた。


 意を決して中を確認すると、どれもこれもファウラには刺激が強いドレスばかり。それに加えて、とてもじゃないが一人では着ることが出来ないものしか入っていない。



(こんな、いかにも男を狩りに行くようなドレスばかり押し付けて、大国の国王にどう思われるか想像しなかったのかしら……)



 花嫁道具の中にこんな物を入れて欲しくはなかったが、嫌がらせの一つとしてやり込んだに違いないと、ファウラは溜め息をついた。