「守られてばかりなのは性に合わないもの。私もルイを助けたい。ルイと人生を共に歩んで行きたい」


「流石……陛下の選んだ人だ」


「それに私はユトの事だって信じているもの。力を貸すのは当たり前でしょ?」




 得意げに笑うファウラは前方から突如感じた強い力の気配のする方を凝視した。

 怪しげに月夜に向かって、紫色の光が王都の片隅の丘の上に佇む神殿から伸びていた。只ならぬ気配に、ユトは上昇して様子を伺った。

 雲の切れ間から差し込む月明かりが神殿を照らし出すと同時に気配が動いた。



「まずい……あの光は……」



 聳え立つ神殿のステンドグラスの窓から溢れ出す光が、意思を持つように動き古代文字を描いていく。出来上がった文字の羅列は瞬く間に輝きを放つその光景は重々しく不気味さまで感じられた。

 描かれた文字によって神殿の周りに巨大な幾何学模様を刻んだ魔法陣が取り囲んでいく。



「……結界を張る気だ」



 神殿を睨みつけるユトを余所に、ファウラは強大な力とは別に感じる小さな気配に目を凝らす。