「俺もファウラにずっと隠していた事があるんだ。ファウラに嫌われたくなくて、傍にいて欲しくてずっと黙っていた」
「ルイ……?」
「戦争で多くの兵士の命を犠牲にしたくない俺は、神殿から禁断の書物を奪い去り悪魔と契約を交わした。そうして人ならざる力で国を守り抜き、全て一つの国にまとめれば国同士の争いで犠牲が出ることは無いと領土を拡大させた。ただ悪魔との契約で力を使った分だけ、悪魔が俺を飲み込んでいく呪いはどうにもできない。結果、今の俺を保って居られなくなり、自分で国を滅ぼす可能性が出てきた」
いつも逞しく国を支えている国王という立場の悪魔王が、一人多くの悩みを抱えるただのルイゼルトとして僅かに震えた声で真実を伝える。
ルイゼルトは国を守り自分の身を取り戻すありとあらゆる手段を使って探した。そこで見つけた方法がーー聖女を生贄に悪魔を封じるというものだったと。
「どうにか聖女の存在を探し出そうとしたが、そんな力は悪魔にはない。ただ身が朽ちていくのを待つだけなのかと思っていた時、ファウラが俺の前にやって来た。一目見た時から、俺は惹かれていたんだ。ファウラと共に歩んでいけたらと……」
初めて会った時の事をゆっくりと蘇ってくる。忘れもしない、衝撃的な出会い。
政略結婚だが何としてでも愛してみせると強く思ったが、溢れんばかりの愛しい想いを抱くことになるとは当時は思いもしなかった。
「だが、ユトからファウラが浄化の力を持つ聖女だと知らされた時は正直自分の感情を押し殺すしかなかった。国を守るためなら、小さな国の一人の王女の命など奪ってもいいのだと自分に言い聞かせていた」
当時を振り返りながらルイゼルトは真っ直ぐにファウラを見つめた。



