光に触れた途端、夢から覚めたファウラは部屋に差し込んでいた太陽が沈み、夜を告げる月明かりが窓から降注いでいることに気付き、ふと横を見た。

 眠るまで傍にいてくれたルイゼルトの香りがシーツに移っていた。

 熱も下がり、どこも違和感を感じない体は、今すぐにでもルイゼルトを求めていた。



「こんな夜になっちゃったけど、ルイに会いたい。会って、私の本当の力の事を話したい」



 思えば行動に移るのにそう時間は掛からなかった。

 寝巻のまま会うのも恥ずかしいと、上から薄い羽織りを着て部屋から出る。

 廊下の空気は夜なこともあって少し肌寒い。羽織を着て来て正解だったと頷きながら、ルイゼルトの部屋へと向かうが、いつもなら明かりがついているはずの彼の部屋が暗い。

 流石に寝ている婚約者の部屋に入る勇気はない。

 日を改めようと部屋へと戻ろうとするが、ずっと寝ていた体が妙に凝り固まっている気がして、少し庭園を歩くことにした。