ルイゼルトだって、嘘をついてきた自分に失望してしまう……そう思うと、何もかもが手につかなくなる。部屋を訪れた侍女に体調が優れない事を伝えて一先ず部屋に籠り、なるべく人と接触しないようにした。

 力で影がいつ近づいてきて誰かを襲う事を避けたかった。

 夜が更けても一向に良い考えがまとまらなかったファウラは、その日は仕方ないと寝台に潜り込んだ。胸のざわめきに中々寝付けないとしても、いつも通り朝はやってくる。

 ガンガンとする頭と、どこか重たく感じる体にまだ寝ていたいと寝返りを打つ。



「ファウラ」



 心地のいい声に目を開ければルイゼルトが滑らかなファウラの髪を撫で出ていた。

 侍女達にしてはいつもと対応が違い過ぎると、状況を確かめるべく重たい瞼を開けた。


 
「……ルッ、ルイ?!」


「体調はどうだ?昨日の雨で体が冷えたんだろう。雨の降った時の待ち合わせ場所も考えておかないとな――」



 ルイゼルトの話を遮るようにファウラは寝台から飛ぶように起き上がった。