悪魔な国王陛下は、ワケあり姫をご所望です。






「あの力は古き神聖な書に言い伝えられる悪魔達が持つ力。それが陛下をお救いするとでも?」


「でも、私はその力で人に笑顔を与えてきたつもりです」



 訴えるファウラの言葉には耳を傾けようとしないハヒェルは、呆れたように大きく溜め息を零した。



「その力で人が救えるなどと御思いで?力によって陛下に危険が及んでいる事をまだ分からないのですか」


「……それはどういう事ですか」


「殿下が持つ力に誘われ影が集まる。主の憑代となる力を求めて、人間に巣食うのです。それを行っている張本人は、殿下――貴方なのですよ」


「……」


「思い返せば、神のざわめきが聞こえ始めたのは、殿下がこの国にやって来た頃。レゼルト王国は、度々厄災から逃れるための贄を裏で動かしている事を神から聞いております。その元凶をこちらに押し付けるための婚姻なのですよ、殿下。側室であった殿下の母上が、殿下を生んで体を壊したのも、贄の存在で悪魔の憑代にされていたせいなのです」


 言葉が出なかった。

 自分のせいで悪しき穢れの力が集まり、人々を苦しめている……そんな事になっているとは思いも寄らなかった。



(本当に、私は悪魔の子……なの?)



 ハヒェルの瞳に映る自分の姿がはっきりとしないのは気のせいだと思いたかった。