大好きなルイゼルトの香りが胸いっぱいに広がっていく。

 抱きしめられたまま、ルイゼルトの指に顎をすくわれて上を向かされる。

 吸い込まれる紅い瞳が僅かに細められ、近づいてくる顔にそっと目を閉じた。



「……ん」



 ゆっくりと振れるルイゼルトの唇は花の蜜のように甘い。

 優しい口づけの後にファウラとルイゼルトが名前を呼ぶだけで全身が喜びに震えた。

 ずっと聞きたかった声で自分の名前を呼ばれるだけで、こんなにも幸せに包まれる体験は生まれて初めてだった。



「ルイ……」


「本当に可愛らしいな。俺のファウラは」



 とろけるように自分の名前を呼ぶファウラに、ルイゼルトは唇を重ねた。

 短く口付ける度に体を揺らすファウラが愛おしく、ルイゼルトは強く抱きしめて離したくないと強く思った。