今こうして努力することが自分の仕事で、隣を歩んでくれるルイゼルトも勤しんでいるのだから。
ルイゼルトに会えるその時を楽しみにすれば、きつい修行も乗り越えていけるはず――だった。
「おかしい。ぜんっぜん会えない……」
旅行から帰ってきて早五日が過ぎたが、一向に会える気配は無かった。
廊下で見かけたとしても、宰相達に囲まれてあれやこれやと指示し、仕事に没頭するルイゼルトの視界にはファウラは映っていない。差し入れを持って行ったとしても、侍従が受け取り直接本人に渡すことは叶わなかった。
城内を宰相達が駆け巡るそれ程までの膨大な仕事を、ルイゼルトが抱えて回しているのだ。ファウラに充てる時間を仕事に使うのも無理はない。
「これは結構、忙殺されてるわね……」
乗馬の訓練を終わらせたファウラは、手綱を引きながら遠くに見えたルイゼルトの執務室に向かって肩を落とした。
旅行に出かけている際はいつも一緒に居て、お互いを身近に感じられていた。
それが幻想だったかのように思えて、ファウラは髪飾りを手に取った。
(変ね……。何か変わったわけでもなく今までの日常に戻っただけだというのに、国王っていう立場のルイがすごく遠く感じてしまうのはどうしてかしら……)
浮かんだ疑問に、答えを示すように髪飾りの輝きがきらりと揺れる。



