「納税の全免除!勝ち取ったあ~!!」




 帰ってきた街で、皆の心配を余所にファウラは声高らかに叫んだ。

 母親やこの街にも危害を加えることはしないようにもできた。街はこれからどんどんと発展し、根元から腐った王宮で働く人間達を叩き切っていくはずだと、一人胸を躍らせていた。



「ファウラだったら強引に婚約も破棄してくるんじゃないかって、秘かに思ってたけど流石にしなかったか」


「エドったら、私を一体何だと思ってるのよ」


「修羅場の乗り越えてきたお姫様」



 ファウラからのむしり取り報告を受けたエドガーは、小さく笑いながら彼女の頭を撫でた。

 手の温もりを感じながら、交渉し掴み取ったものに良くやったと自分を褒めた。
 
 このまま財力を安定させ、領地を広げていけばエドガーの今の貴族階級も上へと上がっていき、この国を支え変えていく……その自信があった。もう何も恐れることはないのだ。

 大好きな街のそう遠くない未来を明るく、幸せへと導くことができたのだから。



「本当にクラネリシアに行っちゃうのかい?」


「こんな悪趣味なドレスを送るなんて、国王様もどうしちゃたんだか……」



 帰って来たファウラを心配する街の住民達の声は止むことはなかったが、温かい気遣いに涙が滲みそうになる。