正妃の嫌味たっぷりな言葉を聞き流しながら、花嫁道具として第二王女のフリルまみれのお下がりのドレス達を渡され、顰め面になるのを誤魔化しきれない。



「なによその目。本当に気分が悪くなる」



 睨みつけてくる目は怒りと憎しみに飲まれていた。その目を見て、自分はああならなくて良かったと、心から思う。

 貰えるものは有り難く素直に貰っていた方が、いつかの自分に役に立つと静かに受け取った。



「出発は一ヶ月後だ。国境にてクラネリシアの使者が待っている。両国の関係をいいものとするように務めて参れ」



「はい」



 それ以上は何も言わない国王に綺麗に一礼すると、振り返ることなく受け取った荷物と共にその場を後にした。

 後ろから聞こえてくるのは、遠慮のない歓声。

 ただ、ファウラの心の中も喜びで溢れ返っていた。