嬉しそうに笑うルイゼルトが、わざとらしく両手に指を絡ませてくる。



「正解だ」



 ファウラの耳元でそう囁いたルイゼルトは掴んでいた両手を解放して、大切なものを壊さないようにそっと抱きしめた。

 伝わってくる熱と、ルイゼルトの心音に幸せな気持ちが滲む。ファウラは、その温もりに応えるように彼の背中に両腕を伸ばす。



「ファウラは俺のものだ」


「うん。ルイのものだよ」


「俺のものに傷を負わせたあの令嬢共には、覚悟を決めて貰わないとな」



 何をするのか分からないが、ルイゼルトにそれは必要ないと腕に力を込める。



「あの子も嫉妬していたの。ルイと一緒よ」


「だからと言って、野放しにできるか」


「私は、今回の事でルイとまた近くなったから、いいんじゃないかって思うの」


「……」


「嫉妬するルイを見ることができたし」




 ファウラは思わず本音を零すと耳を軽く噛まれ、うるさいと囁かれる。

 くすぐったい気持ちに思わず笑うと、釣られてルイゼルトも笑った。

 抱き締めあう二人には、確かに思い合う気持ちがしっかりと芽生えていた。それを育むように、優しい風が二人を包み込んだ。