自身も国同士の同盟を確かなものにするために、嫁ぎにやっては来たが不満が出てこない事にルイゼルトの顔を想い浮かべる。今頃何をしているだろうと考えていると、セーナがにこやかな笑みを浮かべて顔を覗かせた。
「ファウラ様は、陛下の事どう思っていらして?」
「え、えっと……!」
突然の質問に狼狽えるファウラを無視して、セーナは言葉を続けた。
「あんな凶悪な陛下の所に嫁いできたんですもの。さぞかしお辛いでしょうね」
可哀想にと囁くセーナは、吐き出した言葉とは裏腹に口元に浮かべた笑みは何処か楽しそうだ。
セーナの態度に違和感を感じていると、先ほどまで楽しそうに会話していた令嬢達はティーカップをテーブルに置いて、ファウラを取り囲む。まるで、逃がさないようにでもするかのように。
急に冷たい空気が庭園内に流れ始め、ファウラは真っ直ぐにセーナを見つめると彼女の笑顔はすぐに壊れた。
「王女だからっていい気になって……私の殿方に気安く触れるんじゃないわよ!!」
セーナは持っていたティーカップの紅茶をファウラのドレスに零すと、勢いよく睨みつけてくる。何が起こっているのかはよく分からないが、せっかくルイゼルトが選んでくれたドレスが汚れたことに黙ったままのファウラではない。
「セーナ様。これは一体どういう事でしょうか」
「何って、制裁に決まっているじゃない」
「初めてお会いしたあなたに、私が何をしたというのですか」
ファウラの質問に怒りで肩を震わせるセーナは、飛びかかって襲うように両腕を掴んできた。



