悪魔な国王陛下は、ワケあり姫をご所望です。





 池を取り囲む色鮮やかな薔薇の花は、水面に映る姿さえも美しい。感嘆の声を零しそうになるのを抑えて、テーブルを囲んで優雅に会話を楽しむ令嬢達の元へと近づいた。

 ファウラに気付いた令嬢達は、周りを取り囲むようにしてやって来た。



「お会い出来て光栄ですファウラ殿下!」


「式典のお姿、とても麗しかったですわ」


「本日は時間が許す限り、楽しみましょう」



 気兼ねなく話してくる令嬢達に、ファウラは大丈夫だと侍女に視線を送る。事前に輪に馴染め無さそうだったら、近くにいて欲しいと頼んでおいたが、それは必要なさそうだと。

 その場合は馬車の中で待機するようにと言われていた侍女は、どこか名残惜しそうに庭園から離れていく。侍女の姿を見送りながら、用意された香り引き立つ紅茶が入ったティーカップ片手に、自己紹介から始まった会話は少しずつ広がっていく。

 街での日常生活のたわいのない会話とは違い、品のある会話には少し堅苦しさを感じるものの、久々の歳の近い子との会話には胸が弾んだ。

 恋愛の話になった頃には、もう皆立場など関係なしに日々の鬱憤を晴らすように語り出す。



「お父様ったら、この前はリドルとの婚約をようやく認めてくださったのに、やっぱりなしだとか言い出したんですのよ」


「わたくしなんて、この前の縁談に二十も年上の人を連れて来ましてよ……」


「後ろ盾が欲しいにしろ、少しは好意を持てるお相手にして頂きたいわ」



 とまあ、語り出したら止まらない令嬢達に、ファウラは静かに聞いていた。