君の誕生日を祝いたかったけれど、と申し訳なさそうに言っていたのは嘘だったらしい。

 さすがにその時ばかりは姉に詰め寄り、どうしてそんなことをしたのだと訴えた。

『だって欲しくなっちゃったんだもん。しょうがないでしょ?』

 私はそこで初めて、姉が人間の振りをした別の生き物なのだと知った。

 せめて悪びれてくれたらよかったのに、彼女は『しょうがない』という言葉で済ませたのだ。

 あまりにも衝撃的すぎて、姉への怒りは突き抜けた。

 恋人を奪われたのに、姉が望んだならしょうがないと──最終的に私まで納得したのは、十数年の人生で諦めを心に刻みつけられたせいだろう。