魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました

 ニジカイコの触角を少々、ロヴークのめしべをふた振り。

「かおす……」

 こんなにたくさんのものを混ぜたのは初めてだ。師匠のレシピにあるものも、最大で四つまでしか使わなかった。

 ここまで多くの音が重なると、まるで立派なホールの一番いい席で、合唱つきのフルオーケストラを聞いている気分になる。

 でも、まだ足りない。

 もうこれ以上、交ぜるべき素材が思いつかなかったから、最後の手段に出る。

「……あ、あー。……あー」

 喉に手を当てて、前世やったように発声する。

 ……また、歌えるんだ。

 凜は最期の瞬間、二度と歌えなくなることを悲しんでいた。