魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました

 用意しておいた魔道具で火を起こすと、私はそれを扉の中に放り込んだ。

 燃えやすい紙の束がたくさんあるのは知っている。みるみるうちに燃え上がる秘密基地から、名もなき錬金術師の遺産が失われていった。

「私の大事な居場所だったんだ。でも、もう……」

 自分が生まれ育った場所よりも、ここへの思い入れのほうがずっと強い。孤独を癒やしてくれたのもこの場所で、アルトにめぐり合わせてくれたのもここだ。

 師匠が錬金術を遺してくれなかったら、ノインにだって会えていない。

「……泣くなと言っただろうが」

 灰に変わっていく思い出の場所を前に、ノインが私の頭をそっと引き寄せる。