十日後、私はラスヘイムの城を訪れた。

 以前はひとりだったけれど、今日はノインも一緒だ。ついでにカバンの中にはアルトも入っている。

 陛下の私的な客室に案内されると、そこには陛下と王妃殿下の代わりにアベルがいた。

「よくノインをここまで連れてきたな。偉いぞ」

「そんなに偉いこと……?」

「アベルの話なんか、聞くだけ時間の無駄だ」

 ふたりはすっかり元気になっていた。アベルは小さな傷を無数に作っていたようだけど、それも持ち前の回復力とポーションでひとつ残らず治ったらしい。