魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました

「ぷぺぺ!」

 勢いよく飛び上がったアルトが、ノインの顔をめがけて突っ込む。

「おい、やめろ!」

「アルト、だめでしょ!」

 変な声で不満を表しても、アルトが人を攻撃したことは一度もない。

 それなのにノインの頬を引っかき、毛を逆立てて私に近づかせまいとしている。

「ぷぺ!」

「どうして怒ってるの? ノインはなにもしてないでしょ」

「ぷぺぺ!」

 テーブルに爪を立てて怒るアルトの目が、らんらんと輝いている。よほどの興奮状態にあるようだ。

「ごめんね、ノイン。大丈夫?」

「大丈夫じゃない」

 むっつりと唇を引き結んで言うと、ノインは引っかかれた頬を指でなぞった。