魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました

 ノインの手ってこんなに大きかっただろうか? 指が長く、私と違って少し骨張っている。いつもは錬金術の繊細な作業を行う手が、今は私の手を包み込んでいた。

「ノイン……」

 なにを言えばいいかわからなくて、名前を呼ぶ。

 呼び慣れた名前は妙に甘く響いて聞こえた。

 少しずつ速度を増していく鼓動を恐ろしく感じる。

 こんな気持ちは、知らない。

「私にとっても、ノインは特別だよ。大事なお師匠様で、それから……」

 ノインが小さく息を呑んだ気配がした。彼らしくない緊張した表情だ。

 それからなんだろう? 私はなにを言おうとした?

 自分の中から答えを見つけようとした時だった。