そう言いながらも、ノインは私の手を振りほどかなかった。
それどころか、逆に私の手を両手ですっぽり覆う。
「おまえがいなければ、好きなように自分の時間を過ごせた。ひどい料理だって食わずに済んだだろうな。大事な素材だって馬鹿みたいに減るようになったし、今みたいに困らせられることもなかった。でも……」
ノインはひと息で言ってから、一瞬言葉を詰まらせる。
「僕はもう、おまえがいなかった頃の生活を思い出せないんだ」
青紫の瞳に捉えられて、とくんと心臓が音を立てた。
触れ合っている場所が急に熱くなった気がする。
それどころか、逆に私の手を両手ですっぽり覆う。
「おまえがいなければ、好きなように自分の時間を過ごせた。ひどい料理だって食わずに済んだだろうな。大事な素材だって馬鹿みたいに減るようになったし、今みたいに困らせられることもなかった。でも……」
ノインはひと息で言ってから、一瞬言葉を詰まらせる。
「僕はもう、おまえがいなかった頃の生活を思い出せないんだ」
青紫の瞳に捉えられて、とくんと心臓が音を立てた。
触れ合っている場所が急に熱くなった気がする。

