魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました

 ふわふわの毛並みを撫で、耳の後ろを指で掻く。この心地よい感触はいつだって私の心を救ってくれた。

「おまえが離れている間、幻獣も外には出なかった。いつも僕といたからな」

「ぴぷぺぴぴぷ」

「生家から連れて来たと言っていたな。おまえが知らなかっただけで、幻獣の存在を知られていたんじゃないか?」

「ありえなくはない、けど……」

 私がなにも言わなくても、アルト自身が私以外の人間を避けていた。

呼ぶまでベッドの下に隠れていたし、妙な生き物がいるとメイドが騒いでいるのも聞いたことがない。

「あ、でも……エミリアは知ってる。家を出る時、妹にアルトを見られてるの」