魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました

 エミリアは壁にもたれ、周囲の目をはばからず親指の爪を噛んだ。

 ――リネットが出来損ないであることに変わりはないのだ。なにが凄腕錬金術師か。王子やラスヘイムの人々を欺いているに違いない。

 そうだ、とエミリアが小さく声をあげた。

「変な生き物を連れていたのを見たわ。あれのおかげなんじゃなくて?」

 リネットに特殊な才能などあるはずがないから、もし彼女に恩恵をもたらしたのだとしたら、あの生き物ぐらいしかもう思いつかない。

 白い毛並みをした汚いネズミは、今までエミリアが見たことのない動物だった。