メルヴィル家の次女、天才魔法師と評判のエミリアが、唇を尖らせて父に尋ねる。
「ラスヘイムとカーディフでは、尊ぶものも違うということだろう。かの国には大した魔法師がいないという話だからな」
ラスヘイムの者が聞けば、間違いなく顔をしかめるだろう言葉を、メルヴィル伯爵は苦々しい口調で言った。
「それにしても、まさかあの子がラスヘイムにいるなんて」
伯爵夫人が黄昏(たそがれ)孔雀の羽を贅沢に使った扇で、自身の口もとを隠す。
「どうやって国外へ出たのかしら?」
「大方、適当な冒険者に同行したのだろう。仮にも貴族に生まれた者が、下々の人間と行動をともにするとは恥知らずな」
「ラスヘイムとカーディフでは、尊ぶものも違うということだろう。かの国には大した魔法師がいないという話だからな」
ラスヘイムの者が聞けば、間違いなく顔をしかめるだろう言葉を、メルヴィル伯爵は苦々しい口調で言った。
「それにしても、まさかあの子がラスヘイムにいるなんて」
伯爵夫人が黄昏(たそがれ)孔雀の羽を贅沢に使った扇で、自身の口もとを隠す。
「どうやって国外へ出たのかしら?」
「大方、適当な冒険者に同行したのだろう。仮にも貴族に生まれた者が、下々の人間と行動をともにするとは恥知らずな」

