魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました

 自室を出た私が向かったのは、屋敷の庭を通り抜けた先にある大書庫だ。

五歳児にひどい扱いをする大人たちがはびこる伯爵家に生まれて、唯一よかったと思える場所だといえる。

「よい、しょ……っ」

 重厚な鉄製の扉は、五歳児には重すぎた。めいっぱい力を入れないと開かない。

 中に入れるだけの隙間をなんとか開けて滑り込むと、すぐに背後で扉が閉じた。一応、人間が挟まれないように風の魔法で保護されているそうだ。

 大書庫には、メルヴィル家が先祖代々受け継いできた魔法師としての歴史がある。