魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました

「そうですか、そうですか。じゃあ私はこれで」

 本当に仕事をしないんだ、と半ばあきれながら、部屋を出て行くメイドの背中を見送った。

 彼女の適当な仕事加減は知っていたし、私にとっても都合がいいとはいえ、なんだか納得いかない気持ちがある。

 ──さて、邪魔もいなくなったし。

 着替えを済ませて、スリッパから革でできた硬い靴に履き替える。

 伯爵令嬢ともなれば、やわらかい素材の靴をいくらでも持っているはずだけど、残念ながら私は持っていないのだ。

 なぜならこの家の子供として認めるには、あまりにも扱いに困る変わり者だから。