「僕は王子だが、王子であってはいけない。アベルがこの国の王になるために、一番の障害になるのが誰かわかるか? この僕だ」
「そんなわけない。だってノインはアベルに手を貸すでしょ? アベルだって絶対嫌がらないよ」
「お前は権力というものをわかっていないな。貴族たちは、自分に都合のいい王子を未来の国王として擁立する。年の近いふたりの王子がいれば、どうなると思う?」
飲もうとしたお茶のカップを落としそうになり、慌ててテーブルに置く。
「アベルを国王にしたい派閥と、ノインを国王にしたい派閥ができる?」
ノインは正解だと言いたげにうなずいた。

