魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました

「そう、エミリアだけなの」

 エミリアとは私のひとつ下の妹で、それはもうびっくりするぐらい優秀なのだ。

 ゆりかごの中で下位の魔法を使い、三歳の時には火、水、風、雷、氷、そして光、闇と七属性の魔法を正確に扱った。

 魔法師の適性試験を受けるのは七歳になってからだけど、その日が来るのを待たなくても、エミリアの魔法を見たすべての人間が彼女を天才だと称賛した。

 ついさっきまで私は前世の自分を思い出せなかったけれど、エミリアには優しい姉として接していた。

『妹に優しい姉であろう』という前世の思いを、無意識に引きずっていたに違いない。