魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました

　風と火の魔法をかけ合わせて髪を乾かすのだって、ドライヤーひとつで事足りる話だ。

　魔力の少ない人間がやれば、後で倒れかねないのを考えるとむしろ非効率的。

　だったらドライヤーのある日本のほうが、ずっと便利で魅力がある。

　と、思うけれどたぶんこれはちょっと夢がない考え方なのだろう。

　もっとも、ここまで私が割り切って考えるのは、どうやら自分に適性がないようだと察しているのもある。

　伯爵家では、家庭教師による魔法の授業がいくつも組まれている。

　そこで何度『魔力を身体中に行き渡らせて』『心臓の横にある魔力塊に意識を集中して』と言われても、これっぽっちも理解できなかった。