なぜそう思うのかというと、まったく自分の状態に違和感を覚えなかったからだ。

 小さい時の大切な思い出を、ふっと思い出したようなそんな気分。そういえばそんなこともあったと、懐かしさすら感じた。

 不思議なのは内面の意識や、考え方がリネットではなく凜に引っ張られていることだろうか。といっても、十七歳の記憶を取り戻した私が、五歳児としてしかものを考えられないのは、ちょっと苦しいものがある。

「きょうのおべんきょうは、なにをするんだっけ?」

 意識が凜になったからか、たどたどしい口調がかわいらしく聞こえる。

 もどかしさはあるけれど、今の私は五歳なんだからしょうがない。