あなたたちが伯爵家の変わり者だと馬鹿にしているリネットが、実は別世界から来た十七歳の女子高生だなんて思いもしないでしょ?

「なにを笑ってるんです。さっさとしてください」

 このメイドはいつも私に偉そうな態度を取って、今みたいな意地悪をする。

 目の前の子供が突然、前世の記憶を取り戻したなんて信じられないでしょうね。

 私だって、急に前世を思い出すと思ってなかったんだから。

 五歳のリネットも、十七歳の凜も別人ではなく、同じ人間のようだ。本来、この世界を生きるはずだったリネットの身体を奪って凜が現れたわけではないらしい。