私が姉の代わりに死ぬのは、しょうがないことなのだ。

 それならそれで受け入れるから、さっさと終わらせてほしい。

 そんな思いから、声にならない声で最後に好きな歌を歌おうとした。

 どうせ死ぬなら、自分の好きなことをやって死にたかったから。

 でもやっぱり、変な雑音しか聞こえない。

「……ぅ、あ」

 こんな音は聞きたくない。私が大好きな自分の声は、もっときれいに澄んでいた。音楽の先生にも、『凜ちゃんならいつか、夜の女王のアリアも歌えそうだね』と褒めてもらったのに。

 少しずつ息がしづらくなり、周りの音がこもったように聞こえなくなっていく。