聞いてないよ、右京さん




「せーかい」


小さな子供を相手にするかのような楽しそうな声。



じゃあ、私はどこかの国に飛ばされて薬漬けにでもされる?


いやいや、ヤクザはパンピーには手を出さないはず


特に何かをした覚えもないし




すっと顔に向かって伸ばされた手に身構えてしまった。


「そんなに怯えないで、カタギに手なんて出さないから」


少し寂しそうな顔を一瞬見せた。



なんの感情もないような人だと思っていたのに、コロコロと変わる表情に少し意外だと思った。


まだなんにも知らないんだけど、


でも、やっぱりその表情とは裏腹に感情の籠らない台詞が少し怖い。



「もう、寝よっか」


話はまた明日ねって言うと部屋から出ていってしまった右京さん。


私は不安を抱えながらも再びベッドに体を沈めた。