聞いてないよ、右京さん



「んー、」


若と呼ばれた目の前の男は雰囲気に合わない、首をコテっと曲げる可愛い仕草をして見せた。


「お前、家は?」


今度は確実に私に投げかけられた言葉に、


「、、、ない」


躊躇いがちに小さく口を開いた。


掠れた小さな声だったけど、それでも彼にはしっかり届いたようで










「うち、来る?」

少しの沈黙のあと、淡々と言った。


「はぁ!?」


その言葉にすぐに反応したのは横にいたもう一人の男だった。


「若、それはどういう」


「車を呼べ」



男の言葉を遮って低い声を落とした彼は腰を上げた。



「お前、名前は?」



「瑠璃」



「じゃーるりちゃん、立てるか?」



足に力を入れようとしても、脱力感が強く力が入らないことに気がついた。



すると腕を掴まれ軽々と私を引き上げ無理矢理立たせられた。



触れられたところから伝わる体温は印象とは真逆に温かかった。