聞いてないよ、右京さん



満月の夜は、特に危険だって言われていた。

数百年前、人狼は優れた能力をもち、それを脅威だと思った人間からは忌み嫌われていた。


そして、生活を脅かされるようになった人狼は隠れて人間界で暮らすようになったと、


小学生の時、授業で習うことだ。


ただ、この数百年の間人狼が発見されることもなくほぼ都市伝説のようになっている。







「お前、生きてるよな?」

形のいい唇から発せられた言葉。

冷たく感情の乗らない言葉にゾッとした。


だいたい、人の言葉にはその人の気持ちが籠るものだ。


それなのに、この人の言葉からは何の感情も感じられなかった。


だから、自分に向けられた言葉だと気づくのに遅れた。

「まぁ、物理的には生きてるか」

私が声も出せずにいると自分で結論を出した。




「若、どうなさるおつもりですか?」


突然、頭上から聞こえた声に肩がビクッと上がった。


もう1人男がいることに気が付かなかった。

それだけ、目の前の男に気を取られていたんだ。