聞いてないよ、右京さん



「はぁっ」


力が抜け、膝から崩れ落ちた。


ジンジンと痛む膝、遠くから聞こえる賑やかな声、


グラグラと揺れる頭。


もう何も考えたくない


誰か、





コツ、コツ


と、高い革靴のような音が聞こえてきた。その音はだんだんとこちらに近づいてきているようだった。



規則正しく響く足音は私の前まで来ると止まった。



目の前には、やはり高級そうな真っ黒な革靴。真っ黒なスーツの裾が見えた。


私が重い頭をもちあげようとするよりも先に、その人は私の目線に合わせてしゃがみ込んだ。



僅かな光に照らされ髪は、光を通してシルバー色に輝いて見える。


琥珀色をした彼の瞳が私の目を捕らえた。


ゾッと背筋が凍った。同時に人狼という文字が脳裏を過ぎった。