聞いてないよ、右京さん



柚木さんと沢山お話ができて、舞い上がっていた私は

その日の帰りに、前から考えていた提案をしてみた。



運転席に座る柚木さんに後ろから声をかけた。


「あの、スーパーに寄りたいんですがいいですか?」


「あぁ、?いいけど」


怪訝そうな顔をしたゆずきさんは、もう素を隠す気はないらしい。


いつもより砕けた口調だ。


「なんでスーパー?」


バッグミラー越しに目があい、質問をされた。



柚木さんが疑問に思うのも不思議じゃない。


なぜって、いつも料理は用意されたものが届くからだ。


右京さんは元から家にいる事があまりないようだし、食事も摂っている所はあまり見ない。


私の為に料理を運ばせているようだった。


長く過ごすようになって、やっと夜、書斎で仕事をしている右京さんを見かけるようになった。


そんな疲れた顔をしている彼に何か作って上げたいと思った。