聞いてないよ、右京さん




マンションの前に止めた車に着くと、ドアを開けてくれる。


「ありがとうございます」


何気なく、ドアを支える柚木さんの手を見て思わず声を出してしまった。



「え」



私の視線の先を辿った柚木さんは


しまった、と言うように勢いよく手首を隠した。



「それ、『もるもち』ですよね!?」

柚木さんが付けていたのは、もるもちのラバーバンドだ。


興奮気味の声で聞くと、柚木さんはバツが悪そうな顔をした。


「もるもちって、女児から大人の女性まで幅広くから愛されているモルモットをモチーフにしたキャラクターの!」


テレビでよく流れてたのを見て、気づいたら好きになってたな〜


「私も好きで!スクバにも付けてるんですよ!」


ほら!と見せつけた私の目に、眉間に皺を寄せた柚木さんの顔が映った。


あ、


やってしまった



「ごめんなさい、」


顔を上げられずに、俯いた。



「おい、」


ビクっ、

反射で上がってしまった肩。