婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 顔を上げると、馬車の扉が開いていて、隣にいたはずのサルジュがいなかった。彼が馬車を止めるように命じたのだろう。
「サルジュ様?」
 慌ててアメリアも外に出ると、彼は麦畑の傍でその状態を熱心に観察していた。馬で並走していた護衛騎士のカイドも、慌ててサルジュの傍に駆けつけている。
「アメリア、この土地は?」
「えっと、土魔法はなし、水魔法は水遣りのみです。向こう側は二年前に土魔法あり、水魔法はなし。反対側はどちらもなしです」
 記憶を辿りながらそう答える。
 傍にいたカイドが、全部覚えているのかと驚いた様子だったが、領地のデータはすべて頭の中に入っている。
 アメリアの返答を聞いたサルジュは、二年前にリースが土魔法を使ってくれた場所まで歩いていく。
アメリアもカイドとその後に続いた。
「ここか」
「はい。ですが二年前のことですので、もう魔力はほとんど残っていないかと」