婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 レニア領地は地方だが、警備兵が定期的に領内の見回りをしているので、盗賊団なども住み着いていない。母が福祉に力を尽くしているので、路頭に迷う孤児もいない。
 将来、妹の嫁ぐ領地が平和であることを知って、カイドも安心したくらいだ。
 こうして念入りに準備を整え、夏季休暇に入った翌日に、一行はレニア領地に向けて出発した。
 学生ではないカイドの妹とアメリアの従弟は、先にレニア領地に向かっている。だからサルジュとアメリア、ユリウスとマリーエに別れて馬車に乗り、王都を出発した。
 道中は何事もなく、夕方には無事に、宿泊予定の町に到着した。
 この町に一泊したあと、ユリウスは予定していた視察に向かうようだ。
 ユリウスの向かう先が、元婚約者であったリースの生家、サーマ侯爵領であることをアメリアはサルジュから聞かされて初めて知った。
「リースの……」