婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 ただ、彼はサルジュの護衛騎士だ。広大な農地を目の前にしてサルジュがおとなしくしていてくれるか、アメリアにも自信がない。
 せめて自分くらいはひとりにならずに、おとなしくしていようと思う。
 この国の北側に位置するレニア領地までは、馬車で二日ほどかかる。
 どうしても途中で町に一泊しなければならないので、その手配も大変のようだ。
 ただ夏季休暇に実家に帰省するだけのはずが、こんなに大事になってしまい、アメリアもだんだん心配になってきた。
 それでもサルジュがその日を心待ちにしているのが伝わってきて、彼がこんなに楽しみにしてくれているのなら頑張ろうという気になる。
 護衛騎士のカイドと、レニア領地に向かう道順を何度も確認した。
 国内に潜んでいた帝国の手の者は一掃したばかりだから、おそらくその危険性はない。
 時期的にも、今が一番よかったのかもしれない。