婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 彼の対応の早さに驚くが、ユリウスはもともと末弟のサルジュをかわいがっている。すぐに話をつけてくれたのだろう。
 王家の人間というと、あまりにも希少な光属性の魔法を使うこともあり、雲の上のような存在だった。けれどこうして親しく接してみると、家族仲のとても良い、微笑ましい兄弟だ。
「サルジュ様のこと、大切にしているんですね」
「もちろんそうだが、俺が大切なのはサルジュだけじゃない。家族全員だ。マリーエはもちろんアメリアのことも、俺はもう家族のように思っているよ」
 ユリウスがどこまで事情を知っているのかわからない。
 けれど彼は、アメリアとサルジュが水魔法の開発に集中できるように、環境を整えてくれたような気がした。
「ありがとうございます。精一杯がんばります」
 そう言うと、優しく頭を撫でられる。
 アメリアに兄妹はいないが、まるで兄のような優しい手だった。