婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

「サルジュは一度寝てしまうとなかなか起きない。最近はほとんど寝ていなかったようだから、このまま放課後まで休ませておくよ」
 そう言ったユリウスは医務室を見渡して、懐かしそうに目を細める。
「アメリアに初めて会ったときも、医務室に来たな」
「はい。足をくじいてしまって。あのときは治癒魔法をかけてくださってありがとうございました」
 あらためて礼を言う。
「気にすることはない。あれはサルジュのせいだから」
「いえ、違います。私が悪いのです」
 慌ててあのときの訂正をする。
 サルジュにぶつかってしまったのも、怪我をさせてしまったのも自分の方なのだ。
「そうだったのか。もしあのときの護衛がカイドだったら、ふたりとも怪我をすることはなかっただろうな」
「……カイド様には申し訳ないことをしました」
 突然護衛対象がふたりとも逃げ出したのだから、かなり困惑したことだろう。