きみが運命の相手だったらいいのにね。きみは意地悪だし、天邪鬼だし、ずぼらだし、わたしが理想として挙げてきた事柄をひとつもクリアしていないけれど。それでもわたしはきみがいい。意地悪されても、天邪鬼に振り回されても、ずぼらな生活に苦労しても。きみがいい、のに、ね。



先日貴方様は「きみが運命の相手だったらいいのに」と仰ってくださいました。嬉しくって嬉しくって、あの夜は一睡もできませんでしたのよ。ですからわたくしは、お嫁に行きます。お父様の決めた方の元へ行きます。空っぽだったわたくしの心に、思い出を詰めてくださった。それだけで充分でございます。



きみが運命の相手だったら、いや過ぎて禿げるね。そりゃあ趣味は合うよ。カードデッキ持ち歩いていつでもデュエルできるのも、虫料理の店に行ってくれるのもきみくらいだし。でも、さ。きみとわたしだよ。喧嘩ばかりしてるし、そもそもわたしの理想のタイプじゃないし。運命の相手のはずない、よね。