神様、この恋をよろしくお願いします。

今日は久しぶりに体育館裏に来た。

って言ってもサボってるわけじゃなくてお昼の長い放課、悠に呼ばれて委員長も一緒に。

昨日のことを教えてくれた。

お父さんと何を話したのか、どうだったのか、悠なりに思ったことを教えてくれた。

「じゃあ、反抗期だと思って話さなかったってこと?」

聞けばすごくシンプルだった。

「そう、向こうがそう思って…向こうも話し方に困ってたらしい」

いつもの階段に悠を挟んで3人で座る。

委員長は何も言わず、ただ頷きながら聞いていた。

「じゃあ今まで微妙な関係だったこと、お父さんも気にしてたんだ」

「まぁ、…そんな感じ。話しかけてこじらせるより、話さない方がいいんじゃないかって思ってたらしい」

簡単なことほど難しいのか、自分に興味がないって言ってたお父さんは本当は大事に思ってて、思いすぎて気付いたら距離ができちゃった…そんなところなのかな。

「お父さん、なんか空回りだね…」

でも昨日のお父さんを見る限り、言ってることは本当なんだろうなぁ。

そんなに嫌な気はしなかったし、悠のこと心配してるのも本当だったと思う。

あたしにはそう見えたから。

「何考えてるかわかんねぇって、お前の息子だろっていう」 

悠が大きく息を吐いた。

でもそれはいつもと少し違う、なんだか嬉しそうで全然眉を中心に集めてない。

わかりにくって思ってた悠の表情が今ならよくわかる。

くすっと委員長が笑った。

あたしも悠も委員長の方を見た。

「つまりはどっちも不器用なんだよね」

「は?」

「似たもの親子だよ」

くすくすと委員長が笑ってる。

だからあたしも笑っちゃった。

「なんだよっ、別にそんなんじゃねぇーよ!」

ほんのり頬を染めた悠、そんな姿は新鮮で。

あんなこと言ってたけど、悠はお父さんのことも好きだったんだよね。

だからきっと今、嬉しいって思ってる。

そしたらあたしも嬉しいよ。

「悠、よかったね!」

「別に…っ」

ふてくされちゃって、それも可愛かったりして。